青春の詩歌/川端康成の四季と死の美学


 2014年4月5日(土)~2014年6月14日(土)

開館時間 午前9:30~午後4:30(入館は4:00まで)
観覧料 一般 200円 (20名以上の団体は一人100円)
休館日 日・月曜日、第4木曜日(4月24日、5月22日)
監修解説 中村 稔

 展示案内チラシ.pdf 

このたび、日本近代文学館では「青春」をテーマとした展覧会を開催します。青春とは、いつの時代においても、文学者にとって常に重要な創作モチーフの一つであり、幾度となく文学作品において取り上げられてきた主題です。本展ではその中でも特に、青春を歌った俳句・短歌・現代詩作品を、俳人・歌人・詩人たちの直筆資料を通じてご紹介致します。

今回展示いたしますのは、島崎藤村与謝野晶子斎藤茂吉佐藤春夫といった近代文学を代表する作家たちの古典的名作をはじめ、加藤楸邨塚本邦雄安東次男石田波郷といった戦後の俳壇、歌壇、詩壇において中心的役割を果たした作家たちの書、そして、現在活躍中の俳人・歌人・詩人たちによる揮毫作品です。観覧者のみなさまには、それぞれ描かれた時代の異なる作品にふれて、多様な青春のあり方をご覧いただくと共に、作家たち自身の手によって描かれた書軸、原稿などの筆跡を通じて、青春を歌うことばの力強さを感じていただきたいと思います。

 

 主な出品資料

島崎藤村 「千曲川旅情のうた」(小諸懐古園詩碑原本)

「千曲川旅情のうた」

島崎藤村「千曲川旅情のうた」

斎藤茂吉 短冊 「のどあかき玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳ねのはゝはしにたまふなり」

与謝野晶子 短冊 「やは肌のあつき血しほにふれもみでさびしからずや道を説く君」

佐藤春夫 軸 「断章」

三好達治 色紙 「山なみ遠に春はきて辛夷の花は天上に雲は彼方に帰れ共帰るへしらに越ゆる路」

石田波郷 短冊 「初蝶や吾か三十の袖袂」

塚本邦雄 短冊 「宍道湖のしんじつ妻にはるかなる」

安東次男 色紙 「悲運にも似たり林檎を枕とし」

加藤楸邨 軸 「隠岐やいま木の芽をかこむ怒濤かな」ほか、愛用遺品など

沢木欣一 色紙 「雪白の溢るゝごとく去りにけり」ほか、俳句手帳

大岡昇平 色紙 中原中也「夕照」   …など

 

■  現在活躍中の歌人・俳人・詩人による揮毫作品

荒川洋治安藤元雄、井坂洋子、伊藤一彦、宇多喜代子

梅内美華子、大岡信、岡井隆、尾崎左永子、角川春樹

金子兜太、栗木京子、黒田杏子、小池昌代、小島ゆかり

坂井修一、佐佐木幸綱、新川和江、高野公彦、鷹羽狩行

高橋順子、高橋睦郎、坪内稔典、永田和宏、中村稔

長谷川櫂、馬場あき子、平出隆、穂村弘、米川千嘉子 ほか

 

青土社より『青春の詩歌』刊行

当館でもお求めになれます。2370円(税込)+送料実費

『青春の詩歌』 

 

 同時開催 川端康成記念室

川端康成の四季と死の美学

春は花夏ほととぎす秋は月川端とロダン

 冬雪さえて冷しかりけり

私の作品を虚無と言ふ評家がありますが、西洋流のニヒリズムといふ言葉はあてはまりません。心の根本がちがふと思つてゐます。

道元の四季の歌も「本来ノ面目」と題されてをりますが、四季の美を歌ひながら、実は強く禅に通じたものでせう。

(「美しい日本の私―その序説―」より)

 

日本初のノーベル文学賞受賞作家・川端康成の代表作、「雪国」。

雪深い土地を舞台に描かれる男女の相克は、「死」が色濃く影を落とす世界でもあります。そして妖しく美しい異界を描いたという点で「雪国」と通ずる後期の傑作・「眠れる美女」。本展ではこの二作を中心に、川端文学における「死」について、また、その作品世界の美に大きな役割を果たしている作家の「四季」観について、当時の資料・遺愛の品とともにご紹介します。

 

※企画展「青春の詩歌」の観覧券で同時にご観覧いただけます。