震災を書く


2023年2月21日(火)―3月25日(土)

開館時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
観 覧 料 一般300円/中学・高校生100円(20名以上の団体は一人200円)
休 館 日 日曜・月曜・3/23(木)※2/23(木・祝)は開館
編集委員 山崎一穎

 

本展について

2023年、私たちは関東大震災から100年を迎えます。1923(大正12)年9月1日に発生したこの大地震は、マグニチュード7.9、最大震度6、関東一円に甚大な被害をもたらしました。震災直後の混乱の中で、亀戸事件や甘粕事件が起き、また、流言蜚語によって朝鮮人が虐殺されるという悲劇も起きました。
この未曾有の災害を体験した文学者たちは、震災後に何を思い、どのような言葉を書き残したのか。本展では、関東大震災100年を機に、当館のコレクションの中から、関東大震災に際して書かれた作品の原稿や当時の書簡、その関連資料を展示いたします。
また、この春には、2011(平成23)年3月11日の東日本大震災から12年を迎えます。東日本大震災では、地震・津波に加えて、福島の原子力発電所のメルトダウンによる放射能汚染が深刻な影響を与えました。廃炉への道筋も見えず、いまだ解決に至らない問題が残されています。
当館では2013(平成25)年以降、東日本大震災や原発事故に寄せる文学者の思いを、ご揮毫作品とともにご紹介してきました。亡くなられた方々への追悼と、震災の記憶を風化させてはならないと願う心から、現代の文学者の、震災にまつわる多彩な表現を収集・展示・保存してきました。今回も、あらたに作品をお寄せいただいた3名を含む、13名のご揮毫作品を展示いたします。
天災地変に直面した文学者たちは、その犠牲者を悼み、また残された人々の哀しみに寄り添い、言葉に思いを託して災害を語り継いできました。100年前の「震災後」、そして私たちの生きる「震災後」は、全く別のものでありながら、どこか重なり合い、互いに響き合うものでもあります。過去と現在の言葉に触れる中で、失われた命に思いを馳せるとともに、災害と隣り合わせで生きる私たちの未来を考える機会としていただければ幸いです。

公益財団法人 日本近代文学館

 

●部門構成

1関東大震災と文学者たち

与謝野晶子 震災詠掲載誌「女性改造」「婦人世界」
芥川龍之介 小穴隆一宛書簡
菊池寛   原稿 「震災余譚」
北原白秋  原稿 「震前震後」
松根東洋城 原稿 「地震から俳諧へ」
巌谷小波  原稿 「此際大に若返れ」ほか

 

2東日本大震災に寄せる言葉

出品予定作家(50音順・敬称略、*印は今回あらたにご揮毫いただいた方)
〈 詩 〉中村稔*/和合亮一
〈短歌〉梶原さい子/内藤明*/永田和宏/馬場あき子/穂村弘*/米川千嘉子
〈俳句〉金子兜太/黒田杏子/高野ムツオ/長谷川櫂
〈小説〉佐伯一麦

(同時開催の冬季企画展「新収蔵資料展」と共通の観覧料でご覧いただけます)