芥川龍之介─内なる歓びと苦悩


編集:中村稔

芥川龍之介肖像

芥川龍之介肖像

私たちはいま、政治的、社会的、経済的混迷を深め、時代の転換期にいます。芥川の活躍した時代もまた、さまざまな思想の入り乱れる転換期でありました。芥川の作品や生涯を通じて、現代の私たちも多くを学び、多くに共感し、多くの示唆を得ることができると思います。
原稿、書簡、自筆の書画、身辺で愛した品など、多彩な資料で芥川龍之介の世界に迫ります。

部門構成と主な出品資料

第1部 芥川龍之介の絵─河童、化物など

もう一つの自画像としての河童、幼少時から親しんでいた妖怪など、芥川の絵と書を中心に展示。

・小穴隆一宛書簡(田端の河童と本郷の河童)
・「化物帖」
・「萬竿煙雨之図」
・小穴隆一らとの「行燈之会」活動、俳句、短歌、漢詩 など

第2部 芥川龍之介の生涯─あまりに人間的な

出生から、府立三中、一高、東大へ、作家デビュー、中国旅行、晩年へそして死へ、作品を中心に展示。

・自筆回覧雑誌「日の出界」
・草稿「青年と死」
・芥川宛夏目漱石書簡(「鼻」を激賞)
・中国国内より家族などに送られた書簡や旅行中の写真 など
・原稿「侏儒の言葉」、「歯車」、「西方の人」、「或阿呆の一生」
・斎藤茂吉が芥川に与えた「処方箋」
・親類や子供たちへ宛てた書簡
・原稿「或旧友へ送る手記」
・友人・知人へ宛てた書簡、短冊 など

芥川龍之介の書斎

所蔵する遺品の中で、実際に書斎で使われた資料などを展示。

・紫檀の文机(夏目鏡子夫人より結婚のお祝いとして贈られた)に
・ペン皿(菅虎雄書「本是山中人 愛説山中話」)
・ペン軸(死の前夜まで使用された)
・陶製インク入れ大小二つ
・文鎮(スカラベの形)
・硯屏(室生犀星に勧められて骨董屋から購入)
・扁額 菅虎雄書「我鬼窟」 など