パリ憧憬


監修:今橋映子

 

池辺三山肖像

池辺三山肖像

近代日本文学者にとってパリおよびその文化とはなんであったのか?同時代の絵画や写真などをまじえて検証します。

部門構成と主な出品資料

第一部「先進文明の衝撃と同時代東京」

幕末から明治初期に渡欧した福地桜痴、栗本鋤雲から成島柳北、池辺三山へと続くパリ体験と、日本への異文化紹介を、原稿、書簡、旅行記などでたどる。

池辺三山書簡パリより弟・穫三郎宛(1894年8月2日)

池辺三山書簡パリより弟・穫三郎宛(1894年8月2日)

第二部「憧憬と葛藤―荷風と光太郎―」

明治41年にアメリカからパリに渡った二人の文学者〈都市の遊歩者〉永井荷風と〈憧憬と乖離〉の人・高村光太郎。「仏蘭西の小都会」訳詩原稿(永井荷風)、「ビフテキの皿」詩稿(高村光太郎)など。

第三部「近代詩歌の息吹」

夫・与謝野寛の渡航費用を捻出するために揮毫したという晶子の「百首屏風」、子供たちへの手紙、旅券。
美術雑誌「方寸」を発刊した「パンの会」メンバーや、上田敏、堀口大學らの訳詩集を紹介。

第四部「旅情から文明論へ」

大正2年に渡仏し「仏蘭西だより」を朝日新聞に連載した島崎藤村の旅行鞄、書簡など。

第五部「放浪の果てに―1930年代パリ」

西脇順三郎らシュールレアリスムの詩人たちの詩稿、横光利一の「旅愁」原稿など。